最近話題の亀山訳「カラマーゾフの兄弟」そして、「カラマーゾフの兄弟の続編を空想する」を読了。
大学生のとき(もう20年以上前か)にいわゆる海外の長編小説に凝った時期があって、
そのときは岩波文庫で読んだ記憶はあったのだが、
登場人物も筋もほとんど覚えていないので、今回真っ白な気分で読めた。
噂どおり、翻訳が非常にわかりやすく、すいすい読めるのだが、あえてゆっくり、
朝のテレビ小説並に一章一説ごとに読む手をとめたので、まるまる2ヶ月くらいかかった。
いわゆる「父殺し」の筋立て、とくに後半にくると、昼の連ドラのようにどろどろしていて、
2時間サスペンスのように二転三転する展開は、敬して遠ざけておくにはもったいない小説だ。
とはいえ、そのような表面的な筋以上に、
「神の不在」を扱った第二部と、長老の死を描いた第三部の頭がなんといっても読んでいて苦しい。
イワンの良心の復活=神の存在、みたいな話では個人的にはちょっと納得感にかける。
(心情的にはわかるけれど)。作者自身は、神は本当はいないといいたかったような気がしてしまう。
大学生のとき(もう20年以上前か)にいわゆる海外の長編小説に凝った時期があって、
そのときは岩波文庫で読んだ記憶はあったのだが、
登場人物も筋もほとんど覚えていないので、今回真っ白な気分で読めた。
噂どおり、翻訳が非常にわかりやすく、すいすい読めるのだが、あえてゆっくり、
朝のテレビ小説並に一章一説ごとに読む手をとめたので、まるまる2ヶ月くらいかかった。
いわゆる「父殺し」の筋立て、とくに後半にくると、昼の連ドラのようにどろどろしていて、
2時間サスペンスのように二転三転する展開は、敬して遠ざけておくにはもったいない小説だ。
とはいえ、そのような表面的な筋以上に、
「神の不在」を扱った第二部と、長老の死を描いた第三部の頭がなんといっても読んでいて苦しい。
イワンの良心の復活=神の存在、みたいな話では個人的にはちょっと納得感にかける。
(心情的にはわかるけれど)。作者自身は、神は本当はいないといいたかったような気がしてしまう。
鈴木光司の短編小説集。
全編とも、「家族愛」に貫かれたほんわかした小説で、
最近はこういう小説を書いているのかあ、というなかば残念な感じ。
娘の不登校に悩んだ父親が、娘と心を通わすために一輪車を練習する、
バブルの後遺症に苦しみ家庭をすてた父親を、娘がやさしく迎え入れる、
なんて、お涙頂戴の話なんだろうけど、
読んでいるこちらはあまりに非現実的な展開に逆にしらけてしまう。
いってみれば、義務教育の「国語」の教科書でとりあげられそうなそつのなさ
が物足りないというところだ。
彼の持ち味は「リング」「らせん」「ループ」のように、ホラーであろうと、
1ページ1ページ、1作1作趣向を凝らしているところにあると思うのだが。
全編とも、「家族愛」に貫かれたほんわかした小説で、
最近はこういう小説を書いているのかあ、というなかば残念な感じ。
娘の不登校に悩んだ父親が、娘と心を通わすために一輪車を練習する、
バブルの後遺症に苦しみ家庭をすてた父親を、娘がやさしく迎え入れる、
なんて、お涙頂戴の話なんだろうけど、
読んでいるこちらはあまりに非現実的な展開に逆にしらけてしまう。
いってみれば、義務教育の「国語」の教科書でとりあげられそうなそつのなさ
が物足りないというところだ。
彼の持ち味は「リング」「らせん」「ループ」のように、ホラーであろうと、
1ページ1ページ、1作1作趣向を凝らしているところにあると思うのだが。
これも桐野夏生で、今度は長編。
いつもながら、ブックオフで100円均一だったわけだが、
単行本では、「これまでだれも読んだことのない小説」という帯があったらしい。
でも、明らかな模倣以外は、たいていの小説はそういうものだろうから
帯にどうかいてもだからどうということでもないし、
この小説もその一つに過ぎない。
「光源」というタイトルからはイメージできなかったが、
新人監督がもちこんだ脚本に映画のプロデューサがほれ込み、
カメラマン、役者達が映画を撮影していくという話だった。
こういう世界でいきている人間だけあって、全員一癖もふた癖もある個性的な登場人物だが、
それぞれがこの映画を成功させたいという気持ちがつづられていく。
しかし、最後は、お互いの気持ちが一つにならないために、映画撮影は頓挫してしまう。
この幕切れは筋としては破綻している感じもするが、
全編にわたる登場人物の人間くさい心理描写がよく、
映画の世界のことなどわからないが、どういう世界でも、虚虚実実のかけひきがあるよなあ、
と妙に納得しつつ、この長編を一気によませられてしまった。
いつもながら、ブックオフで100円均一だったわけだが、
単行本では、「これまでだれも読んだことのない小説」という帯があったらしい。
でも、明らかな模倣以外は、たいていの小説はそういうものだろうから
帯にどうかいてもだからどうということでもないし、
この小説もその一つに過ぎない。
「光源」というタイトルからはイメージできなかったが、
新人監督がもちこんだ脚本に映画のプロデューサがほれ込み、
カメラマン、役者達が映画を撮影していくという話だった。
こういう世界でいきている人間だけあって、全員一癖もふた癖もある個性的な登場人物だが、
それぞれがこの映画を成功させたいという気持ちがつづられていく。
しかし、最後は、お互いの気持ちが一つにならないために、映画撮影は頓挫してしまう。
この幕切れは筋としては破綻している感じもするが、
全編にわたる登場人物の人間くさい心理描写がよく、
映画の世界のことなどわからないが、どういう世界でも、虚虚実実のかけひきがあるよなあ、
と妙に納得しつつ、この長編を一気によませられてしまった。
彼女の作品はほとんど長編か連作物、
読んでいて、すこしづつすこしづつ輪郭が明らかになってくるものが多い。
で、これは短編小説集。意外だなあと思いつつ読む。
しかし、実際はおもしろく読めた。
「六月の花嫁」は、ゲイの男性が偽装結婚するが、その状況に疲れて、夜な夜な高校生の恋人に電話。
そのことを妻に問いただされ、何もかも捨てて恋人の元へ向かおうと思うが、さて。
「蜘蛛の巣」はひょんなことで学生時代の友人が近所に住んでいることに気づき、
その友人がくだらないことでしつこく電話がかかってくるのが面倒になり、喧嘩になってしまうが、実はその友人は、、、、
という感じで、「落ち」がついていて、笑えるのだ。
そもそも彼女の作品で、笑える、という自体意外な発見だった。こういうのもかけるんだなあ、と。
とはいえ、全体のタイトルになっている「ジオラマ」は、より彼女らしさがでてくる。
平凡な夫婦が、引越しを契機に、どんどん堕ちていってしまうが、
そのこと自体はあまり不幸とは感じず、より新しい世界を知るための
必然だみたいに感じつつあり、その不幸から抜けきれない、という書き方。「落ち」はないけどそこはかとない「笑い」は
やはりあって、不思議なお話になっている。
読んでいて、すこしづつすこしづつ輪郭が明らかになってくるものが多い。
で、これは短編小説集。意外だなあと思いつつ読む。
しかし、実際はおもしろく読めた。
「六月の花嫁」は、ゲイの男性が偽装結婚するが、その状況に疲れて、夜な夜な高校生の恋人に電話。
そのことを妻に問いただされ、何もかも捨てて恋人の元へ向かおうと思うが、さて。
「蜘蛛の巣」はひょんなことで学生時代の友人が近所に住んでいることに気づき、
その友人がくだらないことでしつこく電話がかかってくるのが面倒になり、喧嘩になってしまうが、実はその友人は、、、、
という感じで、「落ち」がついていて、笑えるのだ。
そもそも彼女の作品で、笑える、という自体意外な発見だった。こういうのもかけるんだなあ、と。
とはいえ、全体のタイトルになっている「ジオラマ」は、より彼女らしさがでてくる。
平凡な夫婦が、引越しを契機に、どんどん堕ちていってしまうが、
そのこと自体はあまり不幸とは感じず、より新しい世界を知るための
必然だみたいに感じつつあり、その不幸から抜けきれない、という書き方。「落ち」はないけどそこはかとない「笑い」は
やはりあって、不思議なお話になっている。
G/Wのなか日は出勤。
一本見送らないと座れないかと思っていたが、さすがに普段よりは空いていて、ぎりぎり席を確保して読書。積読していた重松作品はこれでひとまず終了だ。
短編12作が、婦人向けの月刊誌に連載されたというだけあり、
わかりやすく読みやすい作風。
そして、どれも普通に生活している人のちょっとした不満がテーマ。
「となりの花園」というのは「となりの芝生」の逆の意味のもじりなんだろうけど、
この話の主役はDINKSの夫婦。一戸建てにしてようやく静かに暮らせるかと思いきや、
隣に越してきた家族、そこの奥さんがうるさく、引越しまでしたくなるほどいやけがさす。
モノトーンのすきな二人なのに、部屋のカーテンを開けると目にはいる
隣の庭は、原色でうるさいほどの花壇になっていて、
家での仕事がはかどらず夫婦の危機になるまでになってしまう。
しかし、冬になり、その庭がさびしくなると、逆におちこんでしまい、
隣人からもらった原色の花の鉢植えを自室にかざり、
とうとう原色の宝庫であるバリへいくまでになってしまう。
この我知らず、他人に影響をうけていく展開がうまいなあ、と思う。
こんなちょっとした話ばかりだが、一人一人が自分の家族、自分自身を守るために
一生懸命なんだな。。という作者の暖かい視線が感じられる作品群だ。
読後感は、代表作の「ナイフ」とか「流星ワゴン」よりすっきりめ。
一本見送らないと座れないかと思っていたが、さすがに普段よりは空いていて、ぎりぎり席を確保して読書。積読していた重松作品はこれでひとまず終了だ。
短編12作が、婦人向けの月刊誌に連載されたというだけあり、
わかりやすく読みやすい作風。
そして、どれも普通に生活している人のちょっとした不満がテーマ。
「となりの花園」というのは「となりの芝生」の逆の意味のもじりなんだろうけど、
この話の主役はDINKSの夫婦。一戸建てにしてようやく静かに暮らせるかと思いきや、
隣に越してきた家族、そこの奥さんがうるさく、引越しまでしたくなるほどいやけがさす。
モノトーンのすきな二人なのに、部屋のカーテンを開けると目にはいる
隣の庭は、原色でうるさいほどの花壇になっていて、
家での仕事がはかどらず夫婦の危機になるまでになってしまう。
しかし、冬になり、その庭がさびしくなると、逆におちこんでしまい、
隣人からもらった原色の花の鉢植えを自室にかざり、
とうとう原色の宝庫であるバリへいくまでになってしまう。
この我知らず、他人に影響をうけていく展開がうまいなあ、と思う。
こんなちょっとした話ばかりだが、一人一人が自分の家族、自分自身を守るために
一生懸命なんだな。。という作者の暖かい視線が感じられる作品群だ。
読後感は、代表作の「ナイフ」とか「流星ワゴン」よりすっきりめ。


